「自己評価は良くて65点」キャリア22年でも尽きない向上心
Real M 第2回:EX風林火山 二階堂亜樹

Mリーガー×AMOS対談企画『Real M』がスタート!AMOSアンバサダー日向藍子がトッププロの”リアル”を聞き出します!第2回のゲストは、EX風林火山所属の二階堂亜樹選手です。

AMOSへのクレーム!?

亜樹さん、今日はお忙しいところありがとうございます。AMOSアンバサダーとして亜樹さんにいろいろとお聞きしたいと思います。

よろしくお願いします。

さっそくですが、ご実家が麻雀店だったじゃないですか。使っていた卓の機種って覚えてたりします?

いやぁ~、さすがに覚えてないな…

全自動卓でした?

そうだね

じゃあ、もしかしたらAMOSかもですね。AMOSということにしておきましょう(笑)

何卓くらいあったんですか?

7卓くらいかな。すごく余裕をもって置いてたから普通に置けば10卓位は置ける広さだったよ。

結構広かったんですね…!

昭和だから、間に植木鉢置いて仕切りみたいになってて。駅前だし立地は良かったけどとにかく古いビルだったから…めっちゃゴキブリがでる(笑)

それはやだ(笑)

自分で全自動卓を持ってたことはありますか?

あるよ。プロ対局の成績優秀者に贈られる賞品で、それを譲ってもらったの。

どれくらいご自宅にあったんですか?今はもうない?

今はもうないなあ。5、6年くらいもってたかな。人を招いてセットとかやらないから主に自分の研究用に使ってた。

勉強のためだけ!?

そうそう、1人で4人分の手牌作って…でもだんだん使わなくなって最終的には人にあげちゃった。

Mリーグで使用してる『AMOS REXX』の使い心地はどうですか?

すごく好きですよ。

よかった〜!

ただね、点数表示の上の部分の枠に、彫り物みたいのあるじゃない?ちょっと浮き出てる…

ありますね。

あれにね、ユニフォームがひっかかるんですよ(笑)

クレームじゃん!(笑)ビックリしちゃった、今すごい良い話くるかと思ったのにクレーム来ちゃった(笑)

削ります!?亜樹さんが言うならいつでもやすり持ってきます!(笑)

姉・瑠美プロとの絆

麻雀のルールを覚えたのは何歳くらいの時なんですか?

点数計算とかじゃなくて四面子1雀頭であがれるっていうくらいなのはだいたい…4歳くらいじゃないかな。

すごい…!4歳くらいでもやれば出来るんですね!?うちの娘も絶対やろう!(笑)

ファミコンで覚えたの。

ファミコン!?お店とかご両親とかじゃないんですね。

そう、雀荘だったから麻雀ゲームがいっぱいあって、それで勝手に覚えたよ。

ちなみに瑠美さんはどれくらいで覚えたんですか?

瑠美ちゃんはすごい後だと思う…中学卒業してからじゃないかな?

一緒だと思ってました!

全然一緒にはやらなかった。瑠美ちゃんはたぶん全然麻雀に興味なかったから(笑)

なるほど、じゃあ瑠美さんは亜樹さんの後をついていったみたいな感じなんですね。

そう、私がプロになって。で「私一人じゃ不安で心配だからプロになる」って言って麻雀覚えて1年位でプロになった。

妹が心配でついてきてくれたんだ。

そう(笑)

めちゃくちゃ過保護?

うーん、なんか溺愛されてる。

それは話を聞いてると分かります!

今は瑠美ちゃんも子供ができて落ち着いたけど、当時はうちらお母さんもいなかったしすごい「私が守らなきゃ!」くらいに思ってたんだと思う。

支えあってたんですね。

いや、私が一方的に支えられてた(笑)

やっぱり姉妹の絆って深いですか?

と、私は思ってるんだけど…この間某企画で私の一部分だけをアップして、他の人と混ぜて私を当てられるかっていう企画をやったの。

そしたら3問出して、瑠美ちゃん3問とも不正解だったの。で、その後に私もやったんだけど私は3問とも正解したの。

亜樹さんは瑠美さんのこと余裕で当てられるのに、あんなに愛してくれてるお姉ちゃんは…(笑)

そう!まぁ見た目に囚われてないってことかもしれない(笑)

「私は麻雀に向いていない」

亜樹さんいつも「麻雀が好き」って言ってるじゃないですか。逆に嫌いになったことってあるんですか?

ないよ。ないけど、私って麻雀に向いてないなってやるたびに思う。

え、なんでですか?

昔は極めたいなって気持ちもあったんだけど絶対無理だし、今は幼稚園児くらい(笑)

そんなこと言わないでくださいよ!

うーん、あとは向き合い方っていうのかな。麻雀だけじゃなくて勝負事全般が苦手かもしれない。人と競うとか争う事に対して自分を奮い立たせることが難しいタイプの人間だから。

プロになった時も「自分が1番強い」とか「絶対自分が勝つぞ」ってなったわけじゃなくて、ただ”プロ”っていう響きそのものに憧れてて。

自分が人と競ってどうのこうのって心構えができてない段階でプロになってるから、たぶん自分の本質的に向いてないかも。別に人と競わなくても楽しめるしね。

すごく分かります…!私もおんなじことを思って生きてます。

雀風についても、勝手に私亜樹さんと似てるって思ってて。

昔から亜樹さんの麻雀をみてたんですけど、昔は今よりもうちょっと守備よりだったじゃないですか?

うん、そうだね。

その時から、凄いゴリゴリにトップをとりに行くって雀風じゃなかったのがすごいそっくりで。
この打ち方って基本リーグ戦じゃ負けにくいけど、優勝だけしなさいっていう打ち方ではないんですよね。

うん、難しい。リーグ戦向きの打ち方なんだよね。

そう、多数決なら上位にいられるけど、たった1人にはなりにくい打ち方が似てるなと勝手に思ってたんですよ。

そんな亜樹さんが最近は麻雀が変わってきてる。特に今年のMリーグは去年とか一昨年とかとは全然違う。変えてきてるんだなと思ってました。

よく言われるんだけど、今シーズンから意識的に変えてるわけではないんだよね。オフシーズン中に徐々に変えていったから、そう思われるのかも。

ただ、負けない麻雀じゃなくて勝ちにこだわる麻雀を打たないとって意識はあるかな。自分1人だったら思うように打てば良いけど、やっぱりチーム戦だしね。今期は特に”背水の陣”で臨んでるからね…

決意のもとに挑む2020シーズン

その※背水の陣ってどうやって選手に伝えられたんですか?

※2020シーズン開幕前、EX風林火山は「上位入賞しなければ選手を入れ替える」と決意表明した。

ひとりひとり別に呼び出されて「今期うちはこのテーマで行こうと思うんですけどどうですか?」っていう感じ。

えー、ノーって言えないじゃないですか!

そうだね。でもやっぱり2年目すごい負けて申し訳ないなっていう気持ちがあって。チームスタッフがすごい信頼してくれてるっていうのは伝わるけど、私は個人ポイントもかなりマイナスしてたし…

例えば私がプラマイゼロで抑えられてたら全然セミファイナルにもいけてた。実力があるタッキーと勝又を、自分のせいで敗退させてしまったって考えちゃう。

ドラフト1位を強く意識してるわけじゃないけど、責任感が薄かったかもしれない。期待に答えられてないわけだから、私だけクビにされてもしょうがないなって思う。プロの世界はシビアであるべきと思うから。

そんな風に考えてるんですね…

負けたやつは去らなきゃいけない。むしろ去るべきでしょ、みたいな。

亜樹さんってほんとに謙虚というか、ストイックですよね。実力もあるし華もあるし麻雀も魅力的だし、女流プロとか若手の子はみんなが憧れるトッププロなのに。実際の亜樹さんは常に危機感を持ってたってことですね?

そうだね。危機感っていうのかわかんないけど。自分にできる精一杯をやるけど、できなかったときは去るべきかなと思ってる。

二階堂亜樹にとっての”チーム戦”

これからレギュラーシーズンも終盤ですよね。誰が出場するかは選手同士で話し合うんですか?

そうだね。あとマネージャーの藤沢さん。

終盤に帳尻合わせたりするのは私より得意な仲間がいるから、完全に先生(勝又健志選手)頼みになりそうだなって思ってる(笑)

でもそれがチーム戦の良さですよね。

そうだね。うちの強みはそこにあると思ってるから。大事な場面を任せられる人がいるっていうのがチーム戦としては凄く大きいことだなって思う。

亜樹さんはチーム戦についてどう考えてますか?

初年度から先生が口をすっぱくして「チームのポイントを自分のポイントだと思って打て」って言ってて。今思えば2年目が終わるまであまり身についてなかったかもしれない。

そのワードはたかはる(多井隆晴選手)も毎回言います。

最初は「そんなこと言われてもさぁ!」みたいな感じだったんだけど、少しづつわかるようになってきた気がする。

チーム戦っていうのを全く経験してこなかったから、悪い方向に意識して、打牌に影響してたかもしれない。ここでラスひいたら申し訳ないと思って、普段通りに打てなかったりだとか。昨シーズンまではそういうのがあったと思う。

それが3年目で馴染んできた。

そうそう。そういうのはダメですよっていう風にずっと先生に言われてきてたんだけど、「いやわかってるんだけどさ」って言いながらたぶんわかってなくて。みたいな。

それが肌で感じてできるようになってきたんですね。

ある意味吹っ切れたのかもしれないね。

シーズン3分の2が終わって、見えてきた課題はありますか?

チームは内容的にはあんまりよくないのかもしれない。今のところトップも多いけどラス多いのね。うちの強みって安定感みたいな部分もあると思うんだけど、そこはすこし揺らいでるのかなと思う。

でもその分トップを撮りにいくってスタイルが成功しているように見えます。

たまたま成績がいいからってってこれで良しと思わないように意識してるかな。

残りの3分の1どういう作戦でいくか、チームで話したりします?

いや、まだだね。たぶんチームポイントによって話し合うタイミングも変わると思うんだけど、例えばポイントが減ってきて残り20戦とか15戦とかになってきたときにたぶん先生の指導が始まる(笑)

「自己評価は一番良くて65点」

亜樹さんって私に対してどんなイメージ持ってます?

ひなたんはねー、とにかくよく喋るなって。

4文字で表すと「うるさい」ってやつですか?(笑)

いや、うるさくはない。全然うるさくないし、すごく気が合うなって思ってる。さっき言った麻雀に対する考え方もそうだけど、人間性がすごく似てると思う。

え、すごく嬉しいです。亜樹さんがちょっとづつ麻雀がまた変化していっていくのをみると、自分もまだまだ変われるし勉強できるんだって思えます。…ほんと亜樹さんはいつも止まってないですよね。

良いこと言うね!

だから、憧れてるプロが多いんだと思う。結婚とか妊娠とか色々合ったと思うんですけど、それでもトップとして活躍してて、Mリーグや団体のリーグ戦にも出場していて。

私も子供できたからよくわかるんですけど両立するのって本当に大変で。それくらい難しいことも、遠くからみるとさらりとこなしちゃってるイメージ。

そんなことないよ〜!

実際そんなことないと思うんですけど「あ、亜樹さんてこんなこともできちゃうんだ!」っていつも思ってて。

女流プロのやりたいこと・やれることを連続で体現していってる。だからみんなの憧れのど真ん中にずっといるんだと思います。

凄いじゃん、私。

そうなんですよ!気付いてないかもしれないけど凄いんですよ!(笑)

気付いてないっていうか、私は私を認めないって感じ。

もっと自分を褒めてあげて!

私の1番の目標って「今日は100点!って言える麻雀を打つ」ことなのね。

お、今まで最高得点は?

65点

えー!?65は低すぎるよ!厳しいなー、ほんと自分に厳しい!話を聞けば聞くほど謙虚でストイックですよね。根本がネガティブだったり?

そうそう、ネガティブなんだよね。

今回の対談を読んだ人は意外だと思うかもしれないですね。
あんなに活躍しているのに、自分に対してはこんなに謙虚で自信がなかったりするんだな、100点出せないんだみたいな。

だせないだせない。出せるようになりたいね。「後何年残されてるのかわかんないのに」とか思うけど。

どういうこと!?寿命!?(笑)

そうそう。これからあと何年麻雀打てるかどうかわかんない。

いやいや、よくみて!?まむたんとかよくみて!?前原さんとかよくみて!全然長々打てますよ。あと40年は打てますね!

二階堂亜樹選手にとって”麻雀”とは?

亜樹さんて20年近くトッププロとして走り続けてるじゃないですか。とくに女流プロとしては第一人者で。どうやったらそんなにずっと輝いてられるんですか?

輝いてないよ(笑)

いやいやいやいや(笑)世論だから!なにかモットーとかあったんですか?活動するなかで。

モットー…そんなにないかな。昔は嫌なことも嫌って言えなかったけど、ノーと言える日本人になってきましたみたいなとこはある。

じゃあちょっと大人になれたみたいな。

大人になったのか、逆にわがままになったのかわかんないけど。
なんかねー「あ、この世界はもうちょっと自分の意見を言っても良い世界なんだな」っていう風に思えるようになったら、ちょっと楽になったかな。

じゃあ良いことじゃないですか!でも亜樹さんみたいになりたいっていう方いっぱいいると思うんですよ、特に女子プロは。目標にあげる名前ナンバーワンじゃないですか。

あれだよね、みる目がないか、良い部分しかみてないからそういう風に言うんだと思う。

亜樹さんって想像以上に謙虚ですよね…。私が二階堂亜樹だったら絶対天狗になってるのにー!

天狗になる暇がないね、毎日打ちのめされてるよ。なんでこんなに麻雀弱いんだろうなとか。どれだけ頑張っても成長の幅みたいなものがみえなくて、麻雀に対する絶望感みたいなものを感じるときはあるよね。

きっとそのストイックさがあったからこそ、ずっと活躍されてるんですね。

最後にちょっとだけ真面目な質問を…亜樹さんにとって”麻雀”ってなんですか?

うーん、なんだろう。藍子は逆になんて答える?

私はやっぱり生きていくための手段って感じかな…まずはそう答えちゃうかも…

うんうん、そういう側面ももちろんあるよねやっぱり。いろんな要素があるよね。仕事であり恋人であり。よくいえば「人生のパートナー」って感じだけど、それもちょっと白々しいかなって思っちゃう

麻雀プロはずっと続けていくんですか?

うん。できる限りは続けたいと思ってる。万が一プロを辞めたとしても、どんな形であれ麻雀は絶対に辞めないかな。藍子は?

私はどうだろう…。10年後にプロを続けてられるかってのも自信ないや…でもそうやって断言できるってすごいですね。やっぱり麻雀が大好きなんですね。

うん、大好きだよ。でも麻雀は私のことなかなか好きになってくれないんだよね。いつまでたっても分からないことばっかりだし。全部理解したいんだけどその日は来ないんだろうな…

だからそうだなあ…。だから私にとって麻雀は”ずっと片思いしてるひと”って感じかな。

なるほど。でも麻雀に愛されてるからこそこんなに活躍されてるんじゃないですか?

たまーに振り向いてくれるんだけどね。すぐまたそっぽ向かれて、分からなくなっちゃう(笑)

たまには振り向いてくれないとやってらんないですよね。

私はよくふざけて麻雀のことを「愛すべきクソゲー」って言ったりするんだけど、思い通りにならない感じがまたいいのかもね(笑)


撮影:長谷繁郎

対談を終えて

2回目のゲストは亜樹さんにお越しいただきました。今までの歴史、そしてこれからの事を飾ることなく真っ直ぐ伝えてくれた亜樹さんに私も胸打たれました。いつも謙虚であり続ける姿勢と麻雀に対する気持ちは私たちも見習って大切にしていきたいですね。亜樹さんたくさんのお話ありがとうございました。
みなさんの感想ぜひ聞かせてくださいね!次回の『Real M』もお楽しみに!(AMOSアンバサダー日向藍子)

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二階堂 亜樹(にかいどう あき)
誕生日:1981年11月15日
出身地:神奈川県
血液型:O
獲得タイトル:プロクイーン3期、第3回モンド21王座、女流桜花2期,3期、第14回女流モンド杯、ほか多数

1999年に姉・瑠美と姉妹でプロデビューし注目を集める。波瀾万丈な人生は『女流闘牌伝 aki-アキ-』として映画化された。獲得タイトル多数。2018年、EX風林火山からドラフト1位指名を受けて入団。
日向 藍子(ひなた あいこ)
誕生日:1988年9月24日
出身地:長野県茅野市
血液型:O
獲得タイトル:プロクイーン16期,17期、RTDガールズファイト3優勝、第1回女流モンド新人戦優勝

渋谷ABEMASの一員となった2019年に第一子を出産。シーズンの成績もプラスにまとめ、育児も対局もこなす”ママ雀士”として活躍。2020年10月AMOSアンバサダー就任。